参加者の皆さまへ
シェイクスピア勉強会の活動の様子は毎回動画、静止画の撮影し、YouTube、Facebookなどインターネットにアップしています。
皆様の映像画像は厳重に扱い、シェイクスピア勉強会を紹介する以外の目的では使用いたしません。
そしてこの活動に参加していただく際に撮影の拒否は認めないということをルールにさせていただいております。
そのことについて説明させていただきます。
まずなぜこの会を立ち上げたのかというところからお話させていただきます。
映画、演劇の世界に生きる私たちが、自分が精進する、レベルを上げていくために努力をするというのはもちろんですが、業界全体をよくしていこうという意識をひとりひとりが持たなければいけないと私は考えています。
私が映画界に入った1990年代前半は日本映画は斜陽産業と呼ばれていて、つまらないものの代名詞でした。日本映画の黄金時代を知っている50代60代のえらい人たちはその当時でもテレビ局とか広告代理店などを下にみて馬鹿にする人が多かったのですが、中堅の30代40代は危機感を感じていて、何とかしなくちゃいけない、俺たちが日本映画界を変えていかなくちゃいけない、そんな熱気も一部にはありました。当時私は松竹の系列会社のCS放送局に勤めていたのですが、映画人も数多く出入りしていまして、名前のあるプロデューサーなんかでも、私のような若手の無名のライターにも気さくに「シナリオ書いてるんだって? だったらもって来いよ」と声をかけてくれて、指導してもらったりということもありました。映画界はどこからでも世に出るチャンスのあるとても自由な業界だと思います。(逆に後に出版業界をちょっと覗いたとき、新人はコンクールに入賞しない限りほとんど出版できるチャンスはないなどその閉鎖性にたいへん驚きました。)
自分のことだけではなく、自分の生きている世界全体がどうすればよくなるかを考えることは重要なことだと思っています。
私を温かく育ててくれたよき先輩方に影響を受けて、なにか映画のために自分にもできることはないだろうかと考え「子ども映画撮影会」やこの「シェイクスピア勉強会」を立ち上げたのです。
俳優の皆さんはいままで嫌な思いをしてきたという方も多いでしょうが、ワークショップと銘打って多額のレッスン費をぼったくられたり、そうでなくてもオーディションに参加費が必要だったり(逆だろ、本来なら主催者が払わなければいかんだろう、と思うのですが)そんなふうに俳優をとりまく環境は劣悪なものも多いわけです。
だからこそこういう役者の方々に有益なことを無料でやるということに、意味があると私は思っています。こういう活動をしているということを社会に対して知らせることであこぎな商売をしている人たちへの警鐘になるんじゃないか。たとえ微々たるものであっても我々の生きている世界を変えることができるはずです。
シェイクスピア勉強会の動画を見ていただいた方はわかると思いますが、こういう会をしていますよ、ということを伝えているわけであって、役者一人一人の実力を披露しているわけではありません。少なくともあの動画が原因で評判が落ちるということはないと思います。
また私自身にとって、池田はこういうことをしていると社会にアピールすることは、皆さんからお金を取らないかわりの報酬でもあるのです。
また最近の肖像権というわけのわからない権利を盾にして、なんでもかんでも人の顔にはモザイクをかけてしまえという風潮には表現者の一人として由々しきことだと感じています。
表現の自由の大いなる後退です。
私の主催する会においては、誰かを傷つける映像を創っているわけではありません。
ですから、撮りたい映像を自由に撮らせてください。
俳優のなかには演技に自信がないから公開してほしくない、という方もいらっしゃいますが、誰かにみせる、ということも重要な訓練であり、あくまでもプロの研鑽の場であるわけですから、楽しく勉強するというのはもちろんですが、それだけでなく最低限人に見せられるぐらいのものをつくってくる、その程度の緊張感をもって参加してもらいたい、と考えています。