第8回シェイクスピア勉強会「リチャード三世」

リチャード3世の背景になっているばら戦争について簡単に説明します。

百年戦争のおわったイギリスで1455年から1485年までつづいた王位継承を争ったランカスター家とヨーク家の内乱です。両家とも家紋の中にばらのデザインがあったのでばら戦争と呼ばれます。ランカスター家が赤いバラ、ヨーク家が白いバラでした。

 

百年戦争終結後はランカスター朝としてヘンリー6世が国王、王妃マーガレットが国を治めていました。この図の右上にいる人ですね。

そしてヨーク家のリチャードが1455年にセント=オールバンズで国王を襲撃し王位を奪い、ヨーク朝を開き、エドワード4世となります。

敗れたマーガレットはフランスにわたり、ルイ11世に支援を要請し1470年にイギリスに上陸。ヘンリー6世を復位させますが、エドワード4世は国内の貴族とロンドン市民の支持を受けてヘンリ6世をロンドン塔に幽閉します。ヨーク家エドワード4世とランカスター家マーガレットの争いは、再びヨーク家の勝利で終わり、ランカスター家とその勢力はほぼ壊滅しました。

 

エドワード4世は亡くなり、長男がエドワード5世として即位しますが、叔父の護国卿グロスター公リチャードはいきなりエドワードをロンドン塔に幽閉し、さらに殺害して王位を奪います。

ランカスター家の縁者でブルターニュに亡命していたテューダー家のヘンリが1458年にボズワースの戦いでリチャード3世を破り、新たにテューダー朝を開いてヘンリ7世として王位につきます。翌年、ヨーク家のエリザベスと正式に結婚し、ここにバラ戦争は終わりを告げました。

 

なおシェイクスピアの影響で残虐なイメージのついたリチャード3世ですが、じつはそんなに悪い奴ではなかったのではないか、という「リカーディアン」と呼ばれる名誉回復運動もおこっています。   

登場人物について

登場人物が複雑で混乱した方も多いのではないでしょうか。

「ヨーク」「ヘンリー」「エドワード」おまけに「リチャード」まで、同じ名前の他人がたくさん出てきます。

 

家臣たちも次から次へと登場し、「この人誰だったっけ」とわけがわからなくなりますが、

リチャードの忠実な部下だったのにリチャードに無下に扱われ、最後は裏切りリッチモンド(ヘンリー7世)のもとに走ったバッキンガム公。

リチャードの暴走を止めようとしたことが怒りを買い、処刑されたヘイスティングス。

パッキンガムの後釜に座ったケイツビー。

この3人を押さえておけば十分でしょう。