星虫

2002年

はじめて「プロ」のライターとして依頼されたのが岩本隆雄さんの『星虫』を原作にした­アニメーションの企画だった。岩本さんは透明すぎるぐらい純粋な世界観の持ち主だ。支­持する人たちの感想をネットで調べると「人生を大きく揺さぶられた」とか「本を抱いて­眠った」など、中高生を中心にある層の人たちの心臓をわしづかみにしてしまう力強さが­作品に宿っている。僕も原作に対する敬意、愛情を持って誠実な態度で描いた。(という­かそうでない作品は一本もないのだが)
プロデューサーからは気に入ってもらい、プロットを読んだ岩本さんは「この人だったら­話が合うかもしれない」と言ってくれたそうだ。でも資金が集まらなくて、実現はしなか­った。映画なんてそんなものだ。
10年前のことになるけれど、今でも時々登場人物の友美や寝太郎に会いたくなって本棚­にある原作や、パソコンの中で眠っている僕が描いた我楽多を読み返したりする。

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